第2回|16 週間の全体設計と週次メニュー例
1.全体像──16 週間を5フェーズで組み立てる
ChatGPT コーチは、現状(VO₂max 60/乳酸閾値ペース 4ʼ05±3 s/km〈VDOT 53–55〉)から 6.6 km 24 分00秒(=3ʼ38/km) を維持できる走力をつくるため、大会前16 週間を 5 フェーズに分割し、下表のロードマップを提案しました。
フェーズ | 期間 | 週数 | 目的 | 週間走行距離* | 主なキーセッション | 主に鍛える要素 |
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ 基礎再構築 | 7/22–8/11 | 3 | 有酸素容量・走行習慣の安定 | 45 → 55 km | LTビルド20′(4ʼ10→4ʼ00) 75 min LSD | 心肺・フォーム |
Ⅱ ビルドアップ | 8/12–9/8 | 4 | LT引き上げ+ロング走 | 55 → 65 km | 5 km T走@3ʼ55 18 kmロング 1 km×5@3ʼ30 | LT・筋持久 |
Ⅲ 特異的スピード | 9/9–10/6 | 4 | レースペース順応 | 60 → 70 km | 2 km×3@3ʼ45 6 kmペース走@3ʼ42 坂150 m×6 | VO₂・RP |
Ⅳ シャープニング | 10/7–10/27 | 3 | 高速化+疲労抜き開始 | 60 → 50 km | 1 km×6@3ʼ38(R200 m) テンポ20′@3ʼ50 | 神経系 |
Ⅴ テーパー | 10/28–11/16 | 2.5 | 回復とピーキング | 45 → 30 → 20 km | 3 km@RP(週‑2) 200 m×6(週‑1) | コンディション |
*週間走行距離はおおよその目安です。
2.各フェーズの狙いとポイント
2‑① 基礎再構築期(7/22–8/11|3 週)
週間距離 | 主セッション |
---|---|
45 → 55 km | LTビルド20′(4ʼ10→4ʼ00)/LSD75′ |
目的
- 有酸素エンジン(土台)と走行習慣の安定化
- 乳酸閾値(LT)を 4ʼ10 → 4ʼ00/km に押し上げる第一歩
生理作用
- Eジョグ&LSDで毛細血管とミトコンドリアを増やし脂質代謝を活性化。LTビルド走で「乳酸を処理しながら出す」能力を高める。
注意点
- 暑熱期は心拍 +5 bpm 上がりやすいので HR130–145 bpm を優先
- LSD は「ラクすぎる?」くらいで OK。途中にフォームドリルを挟むと効率◎
2‑② ビルドアップ期(8/12–9/8|4 週)
週間距離 | 主セッション |
---|---|
55 → 65 km | T走5 km@3ʼ55/ロング18 km/1 km×5@3ʼ30 |
目的
- LTペースを 4ʼ00 → 3ʼ55/km へさらに短縮
- ロング走で筋腱の振動耐性と心肺持久を底上げ
生理作用/注意点
- ロング走後半でグリコーゲン枯渇→回復を繰り返し貯蔵量アップ。
- T走は週1回で十分、VO₂系とは 72 h 以上離す。
2‑③ 特異的スピード期(9/9–10/6|4 週)
週間距離 | 主セッション |
---|---|
60 → 70 km | 2 km×3@3ʼ45/6 kmペース走@3ʼ42/坂150 m×6 |
目的
- レースペース(3’38/km)に身体を慣らす段階。
- 筋パワーとストライド長を坂150 m×6で強化し、平地RPに転換。
生理作用/注意点
- 2 km×3は「RP+7 秒」領域で乳酸を適量に保ちつつ、心肺はレース心拍の90 %まで上げる。
- 坂走で大臀筋・ハムを高出力動員→神経発火効率UP→平地で接地時間-10 ms。
- RP走後は心拍を135 bpm以下まで落とすCDを5 分以上。
- 坂は6–8 %勾配・接地音を「パッ」と鳴らす意識、腸脛靭帯の張り=赤信号。
2‑④ シャープニング期(10/7–10/27|3 週)
週間距離 | 主セッション |
---|---|
60 → 50 km | 1 km×6@3ʼ38(R200 m)/テンポ20′@3ʼ50 |
目的
- 疲労を抜きながら神経系とスピード持久を磨き、RPを「ラクに速く」。
- 走行距離を20 %削り、質を維持=“シャープ”に仕上げる。
生理作用/注意点
- 短いインターバルで速筋の動員順序を最適化、筋腱の弾性エネルギーを最大化。
- テンポ20’は「LTより5–7 秒速い」強度で走り、“乳酸耐性”を刺激しながら疲労は最小。
- R(リカバリー)は時間ではなく距離200 m jogで心拍150 bpm以下に落とす。
- トレーニングレディネス<45やHRV低下時は本数を4に削り、故障防止を最優先。
2‑⑤ テーパー期(10/28–11/16|2.5 週)
週間距離 | 主セッション |
---|---|
45 → 30 → 20 km | 3 km@RP(週‑2)/200 m×6(週‑1) |
目的
- 内部疲労を完全に抜き、グリコーゲンを満タンに。
- 神経系には“小さな火花”を入れ続け、スピード感覚を鈍らせない。
生理作用/注意点
- 走行距離–40 %で筋酵素は維持しつつ、炎症マーカー(CK・CRP)が急降下→脚が軽くなる。
- 200 mレペは無酸素に入らない出力(38–40 s)で、筋紡錘の反応速度をキープ。
- 週-3 以降に新しい靴・ドリルを導入しない(怪我・筋肉痛の元)。
- 前夜は糖質7–8 g/kg+塩分1.5 g、就寝は22:30 まで。レース当朝は3 時間前に炭水化物軽食+150 mL水。
3.フェーズ横断で守る 3 つの鉄則
- 刺激 → 回復 → 超回復 のリズムを崩さない
- 暑熱期(〜9月)は 心拍基準、涼冷期は ペース基準
- HRV と主観疲労 が赤なら距離‑30 %、高強度‑1 本
4.週次メニューの具体例(フェーズⅠ:第○週)
曜日 | セッション | ねらい | ガーミン指標(目標) |
---|---|---|---|
月 | 休養 | リフレッシュ | – |
火 | Eジョグ 8 km | 基礎持久 | ピッチ178、HR≦140 |
水 | ドリル+WS200 m×6 | フォーム改善 | 接地時間≦260 ms |
木 | LSD 90 分 | 有酸素ベース拡大 | 平均HR75 %以下 |
金 | 筋トレ+ストレッチ | 体幹強化 | – |
土 | Eジョグ 10 km | 距離確保 | VO₂max変動±0 |
日 | ロング 14 km@5ʼ15 | 脚筋持久 | – |
5.チェックポイントと評価指標
週 | 目標メニュー | クリア基準 |
---|---|---|
8/18(第5週) | LT 5 km@3ʼ55 | 平均HR165±2 bpm |
9/22(第9週) | ロング20 km@4ʼ45 | 75 %HRmax以下 |
10/13(第12週) | 6 km@3ʼ42 | RPE 7/10以内 |
11/2(第15週) | 3 km+2 km+1 km@RP | HR≦92 %HRmax |
ガーミン指標の目安
- VO₂max:12 週で +4 以上
- 7日間トレーニング負荷:グリーン帯上限を維持
- 乳酸閾値心拍/ペース:心拍170台前半・ペース3ʼ55→3ʼ50
6.まとめ & 次回予告
AI:このロードマップに沿い、LT↑ → VO₂max↑ → レースペース順応 → 神経研ぎ出し → 疲労抜き を段階的に積み上げれば、6.6 km=24ʼ00″(平均3ʼ38/km)は射程圏内です。
次回(第3回)はフェーズⅠ・第1週の実走レポート。
AIコーチと実際のガーミンデータを照合し、私の練習をAIコーチと一緒に詳しく振り返ります。お楽しみに!
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