対象:
「データは気になるけれど用語が難しい」と感じているランナー
スマートウォッチやアプリで見かける VO₂max や HRV。数字や色が並ぶけど、何をどうすれば速くなるのかピンと来ない──。
本記事では 専門用語をかみ砕いた説明 と すぐ試せる練習 をセットで紹介します。ガーミンでの使い方も紹介しますが、これらの指標は様々なスマートウォッチで取り入れられているものです。
1.走力を示す指標
指標 | 意味 | 使い方 |
---|---|---|
VO₂max 最大酸素摂取量 | 1分間に体が取り込める酸素の上限。エンジンの大きさ。値が高いほど長い距離を速く走れる。 | ① 現在値を記録 ② 週1回のテンポ走+インターバルで少しずつ向上 ③月ごとに推移を確認し、伸び悩んだら練習内容を変える |
レース予測タイム | VO₂max 等をもとに算出する「いま出せそうな記録」。 | 予測より実タイムが遅い → ペース配分やメンタル面を見直す。逆に速い → VO₂max計算が過小。自己ベスト更新の目安に。 |
2.練習の質と量を測る指標
指標 | 意味 | 見るポイント | 使い方 |
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トレーニング効果 (TE) 有酸素 / 無酸素 (0.0‑5.0) | その1本が体に与えた刺激。 有酸素=持久力、無酸素=スピード持久。 | 0‑1 効果小 / 2‑3 維持〜向上 / 3‑4 効果大 / 5 過剰(ガーミン基準) | 週単位で有酸素TEと無酸素TEの両方を平均3.0前後になるようメニューを組む。 |
7日間トレーニング負荷 | 直近1週間の運動量合計。低・最適・高の3段階。 | 低 → 練習量を徐々に+10 % 最適 → 計画通り 高 → 翌週は距離‑20 % or 休養日追加 | 「頑張りすぎ」と「走らなさすぎ」を防ぐブレーキ/アクセル。 |
3.“休む勇気”をくれる指標
指標 | 意味 | 色・数値 | 使い方 |
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HRVステータス (心拍変動) | 睡眠中の心拍のゆらぎ。高い=回復状態、低い=ストレス・疲労。 | 緑 バランス / 橙 アンバランス / 赤 低い (ガーミン基準) | 緑の日に高強度を実施。橙はジョグ、赤は完全休養。 |
リカバリータイム | 前回の練習から完全回復までに要する時間。 | <24 h 短 / 24‑72 h 中 / >72 h 長 | 数値通り休むと超回復を得やすい。レース週は当日0 hになるよう練習量を減らす。 |
4.ペース決定の核心指標
指標 | 意味 | 使い方 |
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乳酸閾値 (LT) 心拍 & ペース | 「これを超えると一気に苦しくなる」境界ライン。 | – LTペースで20‑30 分走(テンポ走)週1 → 閾値を押し上げる – レースでは LTペース+5‑10 秒/km を上限に配分 |
5.リアルタイム負荷を見抜く指標
指標 | 意味 | 活かし方 |
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ランニングパワー(W) | 走るとき地面に加えた力。坂や風も即反映。 | ペースが揺らぐコースで「一定ワット」を維持 → オーバーペース防止。フォーム改善の効果確認にも使える。 |
6.フォーム効率を磨く指標
指標 | 標準レンジ | 改善ドリル | 効果 |
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ピッチ(歩数/分) | 170‑190 spm | メトロノーム走・WS | 足回転↑ ➡ 接地時間↓ |
ストライド(歩幅) | 身長×0.7‑0.9 | 股関節ドリル・坂ダッシュ | 歩幅↑ 、スピード↑ |
接地時間 | 200‑270 ms | プライオメトリクス | 滞空ロス減 |
垂直振動 | 6‑10 cm | 体幹トレ・視線遠く | 上下動↓ ➡ 省エネ |
7.今日から実践!かんたん3ステップ
- 1つ指標を選んで記録
- 例:VO₂max を無料アプリで推定してノートにメモ
- 改善練習を週1で実行
- VO₂max を上げたい →ex)400 m インターバル×6
- 1か月後に再チェック
- 数字が少しでも良化=成功! 停滞なら練習を微調整
データは“魔法の数字”ではありませんが、「走る → 見る → 変える」 の循環を作れば、感覚に頼るより速く成長できます。数値に惑わされず、でも頼りにしながら――あなたの走りに科学の追い風を。
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